狂犬病もワクチンも接種したし、「もう大丈夫!」
と思っているママさんパパさん!フィラリアの予防もバッチリでしょうか?
フィラリア症は感染しやすい上に、死に至る確率までもが高い恐ろしい感染症です。その為、予防がとっても大事。
今回はそんなフィラリア症の怖さや、予防の大切さをお伝えしようと思います。
フィラリア症とは
蚊を媒体とする恐ろしい感染症
フィラリアとは「犬糸状虫」とも呼ばれる、犬の心臓や肺動脈に寄生する寄生虫です。
糸という言葉の通り糸状の形をしており、成虫になるとメスの大きいもので体長が30㎝までにも成長します。
また投薬駆虫を行わなかった場合、成虫の寿命は5~6年と非常に長いです。寄生された犬は、血液の循環がうまく作用せず呼吸困難に陥ったり、肺や動脈への悪影響から合併症を引き起こす事もあります。
何十匹も住み着いたフィラリアが団子状になってしまう様な重篤な場合は、命を落としてしまう事も決して珍しくありません。
感染の仕組み
体内に寄生したフィラリアは、6~7ヶ月かけて幼虫から成虫に成長し、成熟したメスのフィラリアはミクロフィラリアを産むようになります。
ミクロフィラリアは犬の血液中を成長する事なく彷徨い、蚊に吸血された場合にのみ、蚊の体内で感染できるまでに育ちます。(蚊に吸血されなかった場合は2年程で死滅)
ミクロフィラリアが蚊に吸血され成長し、感染できる大きさになった時、その宿主である蚊が他の犬を刺す事によって感染が広まります。吸血時に唾液と一緒に犬の皮膚に落ち、吸血時の傷めがけて体内に侵入するのです。
そこから犬の皮膚の下や筋肉の中で成長した後、血管内に入り込み血液に乗って心臓に住み着きます。
感染している犬から蚊へ、その蚊が感染していない犬へ…といった最悪なループで感染を拡大させていきます。
どんな症状が出るのか
感染してもすぐには症状が現れないのがフィラリア症です。
目にわかる症状が出てくる数年後には、慢性症状として以下の事項があげられます。
食欲不振・痩せてきた
疲れやすく元気がない
腹水が溜まっている
呼吸が荒い
血尿がみられる
失神を起こす
中でも急激な食欲不振や血尿、失神を起こすといった急性症状の場合は、大静脈症候群(VCS)を発症しているケースが非常に多いです。
VCSとは、本来右心に住み着いているフィラリアが大静脈に移動した状態の事で、緊急の手術を必要とします。
フィラリアの予防接種
犬の健康状態に危害を与えるのは成虫のフィラリアです。
なので、フィラリアの予防というのは「成虫になる前の幼虫であるミクロフィラリラを駆除する事」になります。
血液に出てから心臓へ向かう事が出来る大きさになるまで成長させない事が大事なのですね。
しっかり駆虫できていないと、ミクロフィラリアが翌年の投薬期間までに犬の体内で育ってしまい、予防薬では駆虫出来なくなってしまうので必ず予防をしましょう。
またフィラリアの予防にはいくつか方法がありますので、それぞれの特性を見ていきましょう。
飲み薬(内服薬)
昔からある駆虫法ですね。錠剤・顆粒・チュアブル(通称ジャーキーと呼ばれるおやつタイプ)・経口ゼリー等の種類があり、錠剤であればご飯に混ぜたり、顆粒であれば飲み水に混ぜたりして服用します。
毎月一回同じ日に継続して投与する必要があり、5月中旬・6月上旬頃から投与を開始した後、蚊がいなくなって少し経つ11月頃を目安に投与を終了するイメージです。
副作用も少なく安心で安価な事から、フィラリア予防の主流とも言えます。
また現在はフィラリアの他に、ノミ・マダニにも効果があるオールインワンタイプの錠剤を扱う病院も増えています。
滴下型(外服薬)
スポットタイプと呼ばれる滴下型の薬は、薬をワンちゃんの背中の皮膚に垂らすだけで効果を得る事が出来ます。
飲み薬同様、毎月一回同じ日に継続して投与する必要がありますが、お薬を吐き出してしまったり、上手に飲めないワンちゃんにも簡単に投与できるので、初心者の方でも安心です。
オールインワンタイプもあり手間もかからない反面、塗布した箇所を舐めたりしないように注意する必要がある事や、飲み薬と比べると比較的費用が高い点があげられます。
注射
飲み薬やスポットと違い、年に一回で済むのが予防注射です。
飲み忘れの心配もなく、混んでいるシーズンの来院も避けられる事から、最近ではこちらの予防方法を選択する飼い主さんも増えてきています。
内服薬や外服薬は一回でも飲み忘れが発生してしまった場合、その効力が無効になってしまいます。つまり今まで投与していた期間が無駄になってしまうんですね。
そういった点では、注射は一番確実で手軽な方法ですが、薬剤に関して稀にアレルギー反応を起こしてしまう子がいます。
また服用薬よりは副作用が強くでる事もあるので、全てのワンちゃんに向いているという訳ではありません。
投薬前は必ず血液検査を!
それぞれのワンちゃんにあったお薬を選んで、いざ投与開始!
…の前に必ず行って欲しいのが血液検査です。
フィラリアに感染している(体内に大量のミクロフィラリアがいる)状態で薬を投薬した場合、一度に大量のミクロフィラリアが体内で駆虫される事により、ショック症状を起こしてしまうケースがあります。
また大量のミクロフィラリアの死骸が各臓器に詰まって肺炎等を引き起こしたり、フィラリアの急性症状をも引き起こしてしまう可能性もあります。
以上の事から病院では処方前に先生から必ず説明があると思いますし、お薬代と血液検査がセットになっている事が大体です。
去年の余りがあったからと言って、間違っても血液検査をする前に投薬する事がない様にしましょう!
治療法
ワンちゃんの年齢や体力、体内にいる成虫フィラリアの数や寄生状態によって治療法は異なります。
寄生させない事が一番ですが、万が一愛犬が寄生されてしまった場合は、担当の先生と良く相談して治療法を選択しましょう。
予防薬の長期的な投与
予防薬を通常とは異なる方法で投与し、ミクロフィラリアを駆虫しながら成虫フィラリアの減少(寿命による衰退)を目的とする方法になります。
寄生数が少なく、フィラリアによる症状が出ていないワンちゃんに選択される事が多いです。
治療法の中では一番低リスクで、安全な治療法になります。
成虫駆虫剤
成虫用の駆虫剤を内服や注射により投薬し、成虫フィラリアの駆虫を目的とする方法になります。
心臓内で増殖してしまったフィラリアが見られる場合に選択される事が多いです。
死滅したフィラリアが肺等に詰まり悪影響を及ぼす場合や、投与期間が終了しても後遺症が残る場合もあります。
成虫摘出手術
頸動脈から細長い器具を入れ、直接成虫フィラリアを摘出する方法です(吊り上げ手術)
心臓内でフィラリアが大量増殖してしまった場合や、大静脈症候群(CSV)に陥ってしまった場合に選択されますが、体力のないワンちゃんには難しい方法になります。
手術を終えても、フィラリアや摘出時に死滅したフィラリアの欠片が残っていたりする場合もあります。特に欠片に関しては、成虫フィラリアよりも強い症状を起こす事があるので、術後は回復しても注意が必要です。
また心不全などの後遺症や、肺血管の蛇行・炎症によって咳が残ってしまう子もいます。
対処療法
体内に寄生しているフィラリアに対しては何も処置しません。溜まってしまった腹水の除去や、咳等の症状を抑える事を目的とし、フィラリアの自然減少を目的とします。
成虫駆虫剤や外科的手術に耐えられないと判断された高齢犬や、体力のない子に選択される事が多いです。
現状よりも症状が重くならない様にする対処療法は、長期的に生存する場合もあれば、急激に体調が悪化し最悪死んでしまう事もあります。
まとめ
予防はとても簡単なのに、感染してしまうと非常に危険で治療が面倒なフィラリア症。
フィラリア症で命を落としてしまったワンちゃん達は、最後まで痛くて苦しい思いをします。
大好きなおやつも食べる事が出来ず、大好きな運動も出来ずに、ずっとずっと苦しいです。
昔に比べて外飼いが減っている事・飼い主さんの予防の意識の変化などから、フィラリア症で亡くなってしまう子は減少傾向にあります。ですが、予防を怠った事により感染して亡くなってしまう子も、まだまだいるのが現状です。
投与方法をちゃんと守れば100%予防出来る、決して難しい事ではありません。
「フィラリア予防なんて大丈夫」
「蚊に刺される環境じゃないから大丈夫」
「皆やってないって言ってるから大丈夫」
などと思わずに、しっかり毎年予防して、愛犬共々元気に過ごしていきましょう(^ ^)!
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