街中で見かける事も少なくない、「補助犬」と呼ばれる犬達をご存知でしょうか?
常にパートナーを気にかけながら、健気にお仕事をこなすワンコ達。
今回はそんな補助犬についての基本的な事をまとめた記事になります(^ ^)
補助犬とは?
身体が不自由な人の自立や社会参加への手助けといった、サポートを目的とするワンちゃん達の事を言います。
身体障害者補助犬法に基づいて訓練され、試験に合格し認定される事で補助犬になれます。
身体障害者補助犬法とは
身体障害者が補助犬を介して社会参加を円滑に計れる様にする為に、2002年から施行された法律です。電車・バスといった公共機関や病院等の施設に加え、スーパーやレストラン等の利用なども、こちらの法律で義務化されています。
また補助犬と聞くと盲導犬を思い浮かべる方が多いと思いますが、補助犬には盲導犬・聴導犬・介助犬が存在し、それぞれ補助犬には種類を示す目印があるんですね。
盲導犬は白(または黄色)のハーネス、聴導犬・介助犬は胴体の見やすい部分にその表示を。この表示には種類や認定番号、犬種等が記載され、胴着等に貼り付けて着用します。
種類 | ユーザー | 表示・目印 |
盲導犬 | 視覚障害者 | 白、黄色のハーネス |
聴導犬 | 聴覚障害者 | オレンジ色のケープに聴導犬表示 |
介助犬 | 肢体不自由者 | 黄色に青が入ったケープに介助犬表示 |
これらハーネスやケープを身に纏っている時は常に仕事モードです。逆に外している時はオフの状態で、普通のワンちゃんと同じ様に甘えたり遊んだりしています。
補助犬にとってハーネスやケープは、オンとオフを切り替えをはっきりさせるアイテムでもあるのですね。
補助犬の犬種
Ameba出典:日本盲導犬協会のブログより引用
盲導犬、介助犬はラブラドールレトリバーが多く活動しています。
他にはゴールデンレトリーバーや、ラブラドールレトリバーとゴールデンレトリーバーのミックスである通称エフワン(F1)レトリーバーも多く起用されています。
このF1レトリーバーは、片親または両親が盲導犬や介助犬の訓練を積んでいるなど、適正だと判断された子達の第二世代となる為、優秀な子が多いんですね。
そして大型犬の中では寿命が長い傾向があり、見た目はラブラドールレトリバーと非常に良く似ているので、街で見かけた子が実はF1レトリーバーだったなんて事もあるかもですよ(^ ^)
また介助犬の枠ではスタンダードプードルも活躍しています。プートルの一番大きい子ですね。
聴導犬に関しては、補助を必要とする人の希望により、大型小型を問わず様々な犬種が起用されています。
ワンちゃん達も一匹一匹に性格がありますが、どの種類の補助犬にも向いていると判断できる共通要素として、次の様な項目があります。
・人間が好き
・人と一緒に何かを楽しむ事が出来る
・順応性・積極性がある
・集中力が高く、率先力がある
補助犬になる為の訓練と流れ
補助犬は、生後2ヶ月頃までは兄弟や両親から犬同士の挨拶等を学び、1歳になる頃まではパピーウォーカーという一般家庭で愛情たっぷりに育てられ、人間社会のルールや暮らし方を学びます。
その後補助犬を育てる協会や機関に戻り訓練を開始し、実際に補助犬を必要としている人(パートナー)と合同訓練の末にペアで認定試験に臨みます。
その訓練期間はそれぞれの補助犬の種類によって多少の差はあれど、合同訓練を入れて大体1年〜1年半程です。
※2年以上の長期期間で育成する場所も多くあります。
引退は10歳前後。なので訓練を終えてから、パートナーの元でお仕事をする期間は約8年間程ですね。
訓練内容は指示に従う等の基本の訓練に加え、実際に街に繰り出してトレーニングをする環境訓練などがあり、補助犬になる為には1頭あたり約300万円かかると言われています。
続けてそれぞれの補助犬の仕事内容をご紹介していきましょう。
盲導犬の仕事内容
出典:日本盲導犬協会より引用
視覚障害のある方のサポートとして活躍する盲導犬は、主に次の様な仕事をしています。
・道路側を歩いて歩行を誘導する
・曲がり角を教える
・段差を教える
・障害物を教える
・横断歩道や交差点を教える
・ドアなどの目的物を触れる位置まで誘導する等
目的地までの地図を頭の中に描いて歩いているのは、その盲導犬のユーザーです。
ですので基本的に盲導犬はナビをしている訳ではなく、盲導犬ユーザーが目的地まで無事に辿り着ける様にサポートしているんですね。
また犬は信号の色を識別出来ません。信号の有無に関わらず、「道が交わっている所」を知らせる様に訓練されているのです。
そして横断歩道を渡ろうとした盲導犬ユーザーの判断が間違っていると判断した時には、指示に従いません。安全だと判断してから横断します。
聴導犬の仕事内容
聴覚障害のある方のサポートとして活躍する聴導犬は、主に次の様な仕事をしています。
(ファックス、着信、ドアノック、インターホン、目覚まし、ヤカンの笛、赤ちゃんの泣き声等)
・危険な音を知らせる→その場に留まる
(警報音、車、自転車、クラクション、ベル等)
上記以外にも訓練で学んでいない音や初めて聞く音も聴導犬ユーザーに伝え、ユーザーが喜んだり褒めてくれた場合には、その音は知らせる必要があると認識し伝える様になります。
逆に喜ばなかったり褒めなかった音は(テレビの音などですね)、必要のない音と判断し伝える事はしません。
また聴導犬ユーザーが他者に名前を呼ばれた時や、窓口の順番などには鈴を鳴らしてもらうなど、ユーザーに関わる音も知らせる様に訓練されています。
介助犬の仕事内容
手や足が不自由な人のサポートとして活躍する介助犬は、主に次の様な仕事をしています。
・指示した物を持ってくる
・荷物を運ぶ
・緊急時連絡手段の確保
・ドアの開閉や、冷蔵庫から物を取ってくる
・衣服の脱衣補助
・車椅子の牽引
・起立、歩行介助
・スイッチ操作
介助犬の場合は、介助犬ユーザーにとってニーズが異なります。
その為上記の他にも様々な事を訓練する必要もあり、その内容は多岐に渡ります。
お仕事中は暖かく見守って
出典:山形県HPより引用
お仕事中の補助犬を見かけたら、ついつい頑張って!と声をかけたくなったり見つめたくなっちゃいますよね。
ですが補助犬は一般家庭で飼われているペットとは違います。お仕事中の補助犬を見かけた場合は、話しかけない・触らない・見つめない様にしましょう。
また愛犬の散歩中に出会った際には、なるべく遠ざけたり吠えさせない様に配慮するのも大切です。
どんなに賢く訓練を積まれた補助犬でも、予期せぬ出来事には当然驚きますし不安にもなります。
補助犬の気が乱れてユーザーに怪我をさせてしまった例も少なくはありません。
何かある場合は補助犬ではなく、補助犬を連れているユーザー本人に確認する事が望ましいです。
補助犬の引退後
お仕事を終え引退をした後の補助犬達は、引退犬飼育ボランティアと呼ばれる施設に引き取られ一般家庭で暮らしたり、ユーザーがそのまま引き取ったりします。
また幼犬の頃に面倒を見ていたパピーウォーカーに引き取られる事も多いです。
ボランティアの引き取り条件を細かく厳しく審査していたり、いずれも引退犬は現役の頃とは違った生活で、十分にケアを受けながら余生を過ごしていくのですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか(^ ^)
「働く犬」や「職業犬」とも呼ばれる使役犬。
今回はその中でも、目にする機会は少なくない補助犬に関する基本をお伝えさせていただきました!
身体の自由が利かない方の大事な家族であり、大切なパートナー。
平成15年に身体障害者補助犬法が全面施行され、より身近な存在となった補助犬達ですが、まだまだ補助犬に関する認知や知識は浸透しているとは言えません。
高齢化が進む現在。聴導犬・介助犬希望者の増加により、今後は更に目にする機会は増える事でしょう。
そんな時、補助犬に対する接し方や理解がほんの少しあるだけでも、きっと色々と違ってくるのかなっと思います。
ハンディを持っている方・そうじゃない方、もちろん補助犬も含めた皆が、もっともっと暮らしやすく生活しやすい、多様性のある社会になっていくと良いですね。
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